不快な休日の業務連絡を前向きに活かすとらえ方
先日、思い込みがいかに自分を縛るかについての記事を書いたが、もう一つ、自分を硬直化させるものとして「決めつけ癖」について書こうと思う。
【目次】
退勤後や休日の業務連絡
私は退勤後の業務関係の連絡については「断固ダメでしょ!」というスタンスだった。休日などはもってのほかであり、それが来ると非常に不快だった。
致し方なく対応し用件はそこで解決するものの、不快感だけはその日一日中残ってしまい「本来はダメなことを一方的にもたらされた」という侵食され感をずっと引きずるため、1日が台無しになる気分だった。
感情より先に対応してみると
そんなある週、何日か続けて退勤後や休日に業務連絡が入ったことがあった。最初こそ、いつもの不快感に襲われたが、いつしか忘れてしまい、とにかくすぐに返すことに徹したところ、用件が次々と解決していった。そして、その日に対応しておいたおかげで、次の勤務日は円滑にスタートできたのだ。
その時、私は不快感よりも満足感の方を多く得られていることに初めて気づいた。
とても意外だった。
なぜ不快感でいっぱいだったのか
そこで「自分はこれまで、なぜ不快感でいっぱいになっていたのか?」をあらためて考えてみた。
決めつけの強さの弊害
私は「勤務時間以外の業務連絡はダメに決まっている」と、かなり強い決めつけ感を持っていたのだと気づいた。もちろん、業務上の連絡は本来勤務時間内に行うものだと今でも思うし、それがあるべき状態なのだろう、とも思う。
しかし、決めつけ方が強すぎるため、そうでないことが起こった時の自分の感情的反応も大きくなってしまうのだった。
恩恵という側面に気づいていなかった
勤務時間外の連絡に即対応したことで結果的にすべてがスムーズになり、自分も助かった。よく考えてみると、こちらからも、どうしても勤務自分外に連絡をとらせていただきたいときもあり、それを受け入れてもらえることでかなり助かるのである。スマホ、モバイル、メール、ライン。便利ツールのせいで自分の時間を侵食されてしまうのだ、とデメリットだけに気をとられて嫌な気持ちが増幅していたことにあらためて気づいた。
この時代に生きているという自覚
通信機器が家や会社の固定電話のみの時代ならば、ひとたび会社を出れば次に仕事に触れるのは翌日出勤した後である。つまり、その間の時間は「オフ」として守られる。以前はそうやってLIFEとWORKはしっかりと住み分けされていた。
今はその頃と大きく変わった。便利さの反面、いつでもどこでもつながれてしまう。オンとオフの境界が曖昧になり、いつでも外から侵食されがちな危うさを嫌悪している自分がいた。侵食されやすいのだから断乎強い気持ちでそれを阻止せねばならない、という思い込みがそこにあった。
私は便利さを享受しながらも、昔の有り様を当然視するという矛盾に満ちていたのだ。
受け入れると感じ方が変わった
今の私は「ウェルカム!」とまではいかないものの、勤務時間外の連絡を不快感抱かずに受け入れられるようになった。大坂なおみ選手にならい(笑)、感情のスイッチをOFFにして、その連絡にすぐさま対応する。あっという間に用件は解決していく。達成感で気分は爽快だ。小さいけれど、大事な用件を済ませることができた満足がある。
そして、心おきなくOFFの時間へ切り替えだ。そこにはもう、以前自分を覆っていた不快感はない。
そして、もうひとつ気づいたことがある。
連絡してきてくれる相手も、それがイレギュラーであることをちゃんと踏まえて、コンパクトに手短にという配慮をしてくれている。頭っから不快感でとらえていた頃には、相手の気遣いにすら気づいていなかったのだ。そんな自分の未熟さに一人赤面する。
決めつけからの解放
思い込みや決めつけ。それは、常識とか価値観とか、ポリシーといった、一見美しいものをまとっていることが多い。「しかし、実はどうだろうか?」と問うことが大事だ。そのせいで不快感でいっぱいになり、苦しんでいる自分がいるのなら、その美しい信念とやらは幸福なものではないのかもしれない。
少なくとも私の場合はそうだった。
ストレスやフラストレーションの原因は、意外と自分の中の「決めつけ」のせいかもしれない。
自分を変えるのは簡単なことではない。何十年も生きてきていればなおさらである。ただ、変えないことで苦しい思いをしているのなら、一度自己点検してみるのは有効だ。
どんなに性能のよい機械だって、点検は重要だし、劣化した部品が見つかれば交換する。それによって、パフォーマンス高い仕事を繰り出せるのだ。
もし、その劣化した部品が、自分が長い間拠り所としてきた思考の支えの部分だとしたら、「ハイ、交換」とは簡単にはいかないだろう。でも、その部品を使い続けることで性能の良い機械が壊れてしまうことにもなりかねないのだ。
それならば、とてもお世話になったその部品に丁寧にお別れをしよう。これまで長く自分を支えてくれたことへの感謝と、その上で新しく成長していく自分への期待を込めて。